最新記事 by 平野 圭子 (全て見る)
- 究極のゴールはバロンドール? - 2024年11月03日 日曜日 2:10 PM
- アラン・ハンセン(すっかり回復)が古巣パーティック・シッスルで記念式典に登場、スタンドのファンから盛大な拍手を受ける - 2024年10月22日 火曜日 12:00 AM
- リバプールvチェルシー:コナー・ブラッドリーが昨季のチェルシー戦2試合のスペシャルな思い出を語る - 2024年10月21日 月曜日 12:00 AM
LFCファウンデーションが主催するLiverpoolのレジェンド・マッチは、3月のインターナショナル・ウィーク中の土曜日に行われる年次行事となり、今年で8回目を迎えた。毎年、Liverpoolの元選手の有志が集まり、協力してくれるクラブが対戦相手してアンフィールドを訪れ、試合を行う。収益金はLFCファウンデーションを通じて、地元の財政援助を必要とする子どもたちのサポートに費やされる。3月のインターナショナル・ウィークは、ほとんどの代表チームが親善試合のみということもあり、比較的多くのファンがアンフィールドのスタンドを埋めている。今年は、3月23日に、対戦相手はオランダのアヤックスと早々に決まっていた。
ところが今年は、定例のチャリティに加えて、スベン・ゴラン・エリクソンが一生涯の夢をかなえるという要件が加わり、壮大な行事となった。エリクソンの母国スウェーデンでも試合がTV放送され、アンフィールドは59,655人が入る満員御礼となった。
発端は、今年1月11日に、エリクソンが末期がんで余命1年という悲しい真相を公表し、フットボール界に衝撃をもたらしたことだった。スウェーデンのIFKヨーテボリやイタリアのラツィオでUEFAのカップ優勝など、クラブでの成功を経て、エリクソンは、2001年にイングランド・フットボール界初の外国人代表監督となった。
その偉大な監督だったエリクソンの悲しいニュースに、Liverpoolファンも一斉に心を痛めた。イングランド代表チームに対して深い思い入れを持つことは殆どないLiverpoolファンにとっても、エリクソンが代表監督だった2001年のW杯予選で、ドイツにドイツで5-1と快勝した、しかもその5点は全て当時Liverpoolの選手だったマイクル・オーウェン(3点)、スティーブン・ジェラード、エミル・ヘスキーのゴールで、イングランドの全国紙も「ドイツ1-5 Liverpool」という見出しを掲げた、その試合を懐かしく語り合った。
ところが、直後の1月13日に、エリクソンがスカイスポーツのインタビューで、生まれつきのLiverpoolファンだったと明かしたことで、Liverpoolファンにとってエリクソンの病気は「自分たちの問題」になった。
「お父さんが熱烈なLiverpoolファンだったので、私もLiverpoolファンとして育った」と、エリクソンは語った。お父さんは現在94歳で、お元気にしており、Liverpoolの試合は今でも欠かさず見ているという。「イングランドの代表チームやクラブ(※マンチェスターシティ、レスターシティ)の監督だった時には明かせなかったが、Liverpoolの監督になることが夢だった。残念ながら、それはかなわない夢となった」。
エリクソンの告白は、Liverpoolファンの胸を直撃した。「エリクソンの夢をかなえたい」と、YouTube番組を主催するLiverpoolファン・グループであるアンフィールド・ラップなどが声を上げ、3月のレジェンド・マッチでエリクソンに監督を勤めてもらおうという声がLiverpoolファンの間で広まった。それから、SNSを通じてクラブ筋に働きかけるなど、実現に向けての運動が始まった。地元紙リバプール・エコーも記事を通じて呼びかけた。
2月13日に、3月のレジェンド・マッチでエリクソンがLiverpoolの監督を勤めることが正式に発表された。
Liverpoolが4-2と逆転勝利を収めた試合の後で、「一生の思い出が出来た」と、エリクソンは語った。「良い選手たちが良いプレイをしてくれて、2-0とリードされながら勝つことが出来た。もちろん、真の勝者はチャリティ目的が果たせたことだ。6万人のファンが入ってくれて、収益金を上げて、そしてスタンドで試合を盛り上げてくれた」。
「Liverpoolの監督としてベンチに座れたことで、私の一生涯の夢がかなった。こんな素晴らしい一日にしてくれたことを、選手たち、ファン、そしてLiverpoolのクラブに感謝している。Liverpoolで監督業を終えることができた私は幸せだ」。
Sven fulfills his #LFC dream ❤️ pic.twitter.com/1xbCMryx6M
— Liverpool FC (@LFC) March 26, 2024
試合前にピッチに立ったエリクソンを、満員のスタンドが合唱して迎えたYou’ll Never Walk Aloneは、文字通りの意味(あなたは決して一人で歩かない)を表現していた。
A special Anfield ovation for Sven-Göran Eriksson ❤️ pic.twitter.com/632Y9uiJQY
— Liverpool FC (@LFC) March 23, 2024
*本記事はご本人のご承諾をいただきkeiko hiranoさんのブログ記事を転載しております。
コメントを残す