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琥珀色の街、上海蟹の朝 / くるり
名探偵コナンと倉木麻衣ぐらい、チオビタドリンクと“いい意味”でずぶずぶの関係でお馴染みのくるり。そんな彼らが20周年を記念して世に送り出したのがこの名曲『琥珀色の街、上海蟹の朝』です。もう曲名が刺激的過ぎますね。大好きな曲です。
くるりとしては初となるR&B/ヒップホップ路線の曲で、これを使っておけばなんだかそれっぽくなる魔法のフレーズ“シティポップ”の感じが漂っています。ちなみになんで上海かというと、岸田繁が感じていた上海へのノスタルジーの現れだそうです。
歌詞は基本的に暗く、重苦しさを感じさせますが、〈上海蟹食べたい あなたと食べたいよ〉という部分で一気に鬱蒼とした雰囲気を吹き飛ばします。そして、そんな上海蟹をあなたと食べたくなる直前でぶっ放される〈君はもうひとりじゃないから〉というリリック。これのお陰で、無事YNWAの精神が宿っていると判定することができました。
既出ですが、YNWAには〈At the end of the storm, there’s a golden sky〉という歌詞があります。「嵐の向こうには、金色の空」といったところですが、ラストの〈長い夜を越えて行くよ 琥珀色の街〉がYNWAの雰囲気と個人的にリンクするんですよね。“琥珀色の街”というワードは、“金色の空に照らされた街”、という意味ではなく、煌びやかな都市のことを指していると思いますが、行きつくところは同じな気がします。
『GUTS!』は歌詞だけ見ると確実にトップクラスのYNWA指数を誇るのですが、曲調というか、曲の雰囲気がややYNWAとは離れたところにあると思います。翻ってこの『琥珀色の街、上海蟹の朝』は、歌詞こそ『GUTS!』にYNWA度で及びませんが、曲の全体的な印象はこちらの方がより近いものを感じさせます。背景にあるものは重たく暗いけど、それを弾き飛ばすような展開が待っている。歌詞だけでなく、そういった意味でも非常にYNWAの精神を感じさせる一曲と言えるのではないでしょうか。
しかし、私がこのナンバーからYNWAを感じ取るのはリリックや曲全体の印象だけというわけではありません。この『琥珀色の街、上海蟹の朝』のEPには、『Hallo Radio – QURULI ver.』という曲が収録されています。そしてこの曲の歌詞には、ある超重要ワードが使われています。さて、それはなんだと思いますか?
……そうだね、「リバプール」だね。いいですか、我らがリバプールですよ。俺たちの知っているリバプールです。といってもサッカークラブの方ではなく都市の方ですけど。もちろん、イングランドのリバプールです。オーストラリアのリバプールとかじゃなくて。
そういうわけで、ちょっと歌詞を見てみましょう。
あいつの歌が流れ出す 信号待ちの交差点
君と同じ リバプールからトランジスタ・ラジオ
誰もいない放課後の プールサイドで歌ってた
君のメロディー 遠く離れても
この車の中で歌うのは
誰も知らない 思い出の メロディー
燦然と輝いていますね、リバプールの文字が。この『Hello Radio』、実は曲はラジオのキャンペーン・ソングなんですよね。前述の通り作詞・作曲はくるりの岸田がしているのですが、何人ものアーティストが楽曲制作に参加し、歌いあげています。メンバーは大橋卓弥(スキマスイッチ)、木村カエラ、KREVA、ディーン・フジオカ、藤原さくら、そしてYONCE(Suchmos)です。ちなみにユニット名はザ・プールサイド。
そしてここで登場する〈リバプールからトランジスタ・ラジオ〉という部分。これはRCサクセションの『トランジスタ・ラジオ』に対するリスペクトでしょう。この曲には〈ベイエリアから リバプールから このアンテナがキャッチしたナンバー〉という歌詞があります。まぁ十中八九リバプールからキャッチしたナンバーはビートルズでしょうね。岸田もビートルズめちゃくちゃ好きですし、そういうのもあって歌詞に盛り込んだんだと思います。リバプールといえばビートルズだ!って人も多いですからね。
ただめちゃくちゃ惜しいのが、リバプールのガチサポーターであるSuchmosのYONCEの歌割りが〈君と同じ リバプールからトランジスタ・ラジオ〉の前後なんですよね。リバプールの部分をリバプールファンでお馴染みのYONCEに歌ってほしかったぜ…!ちなみに詳しい歌割りはこの記事を見るとわかりやすいです。
そしてここまで来ると余談も極まるんですけど、この『Hello Radio』をカネコアヤノにカバーしてほしい。曲の雰囲気も絶対合うし、なによりカネコアヤノの口から合法的にリバプールを聞けるのまじで神すぎんか?俺のオタクみたいなところが出てしまった。
いやカネコアヤノって誰だよって人がほとんどだと思うんですけど、俺が今一番好きなアーティストです。名前だけでも覚えて帰ってください。
話を戻しますが、前述の通りこの『Hello Radio』を岸田がセルフカバーしたくるりバージョンが収録されているのが『琥珀色の街、上海蟹の朝』ということで、このEPはYNWAの精神を感じさせる曲もあれば、歌詞にリバプールが出てくる曲もあるというわけです。魂が震えますね。
そういうわけでこの『琥珀色の街、上海蟹の朝』はYNWAソングでありながらリバプールソングでもあるのです。まじでどういうわけなのかはあまり突っ込まないでください。突っ込まれる前に次に行きましょう!
イチゴのショートケーキ / 如月マロン(ジェラードン)
ふざけた曲名とリバプールのレジェンドっぽさを感じさせる歌手名。というかこれを全部一から説明しないといけないのかなり大変なことに気が付いてしまった。皆さん知ってます?ジェラードンって。
まぁざっくりと説明すると、ジェラードンという吉本興業所属のお笑いトリオ(メンバー:海野裕二、かみちぃ、アタック西本)がいるんですけど、そのジェラードンのネタに「握手会」ってものがあるんですね。そのネタから生まれたのがこの『イチゴのショートケーキ』という歌で、如月マロンというのは、かみちぃがネタの中で扮しているキャラクターの名前です。まぁ百聞は一見に如かずということでネタを見て下さい。きっと面白いです。
けっこう楽しんでいただけたんじゃないでしょうか。でもジェラードンっていう名前に気を取られ過ぎてそれどころじゃない人もいるかと思うので、もう説明しちゃいますけど、このジェラードンという芸名は我らがスティーブン・ジェラードから来ています。当たり前ですね。逆にジェラード関係なかったら奇跡過ぎます。
なんでジェラードンかというと、命名した海野曰く深い意味はなく、ただ単に好きなジェラードとリザードンを合体させただけとのこと。海野は大のサッカーファンであり、サッカー部としてもガチでやっていた人。そして一番好きな選手がジェラードというわけなんですね。個人的にはジェラードから名前を付けちゃっている以上、彼らを応援しないわけにはいかないと思っています。
@_____fr
— ジェラードン海野 (@uminoyuji) March 13, 2014
ポッチャマかゼニガメです!笑
マジで意味はないですよ!
ただ、ジェラードとリザードン合体しただけです!笑
さて、件の『イチゴのショートケーキ』ですが、この曲は基本的にかみちぃ演じる如月マロンが歌いながら、西本演じるオタク役のごろうさんが合いの手を入れていくという展開で曲が進んで行きます。しかし、突然マロンがアイドルとしての作った声ではなく、素の声で歌う箇所があります。それがこの部分
光のさす方へ 走り続け
時には立ち止まってもいいさ
君は一人じゃない
共に手を取り合い
さぁゴールしよう
出ましたね、〈君は一人じゃない〉。どういうつもりでこの歌詞を入れたかは分かりませんが、YNWAの精神をひしひしと感じます。ゴールという言葉も、サッカーを連想させますしね。ただ、作詞はかみちぃと西本なんですよね。西本もサッカー好きっちゃ好きですが、おそらく海野ほどではなく、過去のツイートからもジェラードというサッカー選手に関してもあまり詳しくは知らないように見られます。かみちぃは完全にバスケの人なのでサッカーはそもそも門外漢です。
そう考えると、YNWAっぽい歌詞は狙ったわけではなく偶然説もあります。もちろんクレジットに名前がないだけで、海野の意見が反映されている可能性も否定できませんが…。とはいえ、海野はジェラードが好きと言ってもリバプールが好きとまでは言ってないんですよね。なのでYNWAを歌詞に盛り込むほどかな?っていう疑問もあります。
まぁ細かいことはさておき、個人的には普通にジェラードンの大ファンなのでなんとか彼らには売れまくってほしいといつも思っています。というか過去に彼らの紹介記事をLFCラボで書こうとしたことすらあったんですよ。結局お蔵入りになったけど。握手会のネタでバズってた頃なので、もう3年半ぐらい経ってます。どうにか売れてほしい。
ちなみに西野七瀬がジェラードンのファンらしく、「行列のできる法律相談所」や自身がパーソナリティを務めたラジオに呼んだりしてくれています。頭が上がらないですわ。あとバラエティ番組で竹内涼真とコラボしたりしていて売れるポテンシャルはあるので、見守っていきたいところ。個人的に最近笑ったネタ載せておくんで、興味があったら是非見てあげてください。
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