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12月14日土曜日の午後3時キックオフの試合で、全国メディアが「今季の優勝候補」と謳っている2チームが揃ってホームで引き分けた。そして、その2試合に対する中立のメディアやアナリストの評価は、文字通り対極を行っていた。エバトンに0-0と引き分けたアーセナルについては、この類の試合結果に対する通常の反応とも言うべく、「残留争い中のエバトンを相手に無得点に抑えられたアーセナルは、攻撃力の欠如をまた露呈させられた」と、ネガティブな説明文を羅列した記事を掲げた。
中でもメール紙は、アーセナル・ファンのジャーナリストが、「自滅で優勝争いから脱落するのは年次行事」という見出しで痛烈な批判を唱えた。「2週連続で、優勝争いのライバルであるマンチェスターシティとLiverpoolがポイントを落としてくれたのに、自滅が年次行事になっているアーセナルは、オープン・プレイから得点チャンスを作ることが出来ずにライバルチームのプレゼントを無駄にした」。
「いっぽうLiverpoolは、10人に減りながらも2回リードされて2回オープン・プレイからのゴールで同点に追いついた。アーセナルの理論では、10人に減ったチームは得点してはいけないはずだったが?それがボーンマス戦(試合結果は2-0でボーンマスの勝利)の時に聞いた説だった」と、同紙は皮肉で締めくくった。
17分にアンディ・ロバートソンが退場となり、ほぼ90分間を10人で戦ってフラムと2-2で引き分けたLiverpoolに対しては、アーセナル・ファンのジャーナリストによる当てつけの引用だけでなく、中立のメディアが一斉に称賛した。「Liverpoolは、試合結果だけを見れば2ポイント落としたが、86分の同点ゴールを含め10人で戦い抜いたパフォーマンスは、優勝争いを勝ち抜く意欲表明だった」。
「現在プレミアリーグ8位のフラムは、クラブ史上で2003年以来という好成績のスタートを切った、ビッグクラブにとって最も嫌な相手の一つだった。そのフラムに対して、10人のLiverpoolはポゼッション60%、得点チャンスの数も相手ボックス内のタッチ数も11人の相手を遥かに上回るプレイを見せた」。
フラムの好調の主要因であるレフトバックのアントニー・ロビンソンは、試合後のインタビューで、「Liverpoolはさすがだと思った。10人のチームと戦っているとは思えなかった」と、全国メディアの評価を裏付けた。「リスクを覚悟でハイラインでがんがん攻めてきたので、我々は守りに専念させられた。強力な攻撃を畳みかけて来たので、同点ゴールは当然の報いだと脱帽した」。
BBCのマッチ・オブ・ザ・デイで、クリス・サットンが続けた。「Liverpoolは驚異的なパフォーマンスを見せた。10人に減ったというのに、それを言い訳にする気など毛頭ないとばかりに気合むき出しで攻撃した。人数の不利を考えると、Liverpoolは最高のプレイをした」。
「スタンドのファンがロバートソンの分を補った」と、サットンは付け加えた。
Liverpoolファンは、サットンの言葉に頷いた。「1-1になった時に、10人だから1ポイントを死守しようという様子は微塵もなく、ひたすら勝ちを目指して戦ったチームは素晴らしかった。76分に1-2になった時にも、強い精神力で同点ゴール、決勝ゴールを目指して全力を出し続けたチームを誇りに思う」と、あるファンが言った。別のファンが続けた。「我々も良くやったと思う。今季開幕直後は声援の音量は今いちだったが、このところ6試合連続でスタンドのパワーは全開だ」。
フラム監督のマルコ・シウバがLiverpoolファンの自己評価を裏付けた。「アンフィールド・パワーにやられた」と、シウバは試合後のインタビューで語った。「我がチームのパフォーマンスには満足している。ただ、70分以上も相手は10人だったという事実を考えると、勝てなかったことを反省すべきだと思う」。
アルネ・スロットは、退場になったロバートソンを擁護し、10人で立派に戦った選手たちと、それをスタンドからサポートしたファンを誉めた。「選手たちはキャラクターを表明した。ロボもだ」と、スロットは語った。ロバートソンは、試合開始早々に相手イッサ・ディオプの蹴りを受けて膝に大きな打撲を負いながら、レフトバックの控えがいない厳しいベンチの状況を考えて試合に出続けたという。ひざの痛みがロバートソンの動きを鈍らせた時に、レッドのタックルとなった。「レッドの判定は正しかったが、ロボを責める気は全くない。痛みの中をよく頑張ってくれた」と、スロットは説明した。
「今日の選手たちは、私にとってこれ以上望めないくらいのパフォーマンスを見せた。特に10人に減ってからは。2回リードされて、1人少ないという不利が重なったのに、それを覆せたのは選手たちとファンが素晴らしい仕事をしたからだ」。
*本記事はご本人のご承諾をいただきkeiko hiranoさんのブログ記事を転載しております。
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