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3月に再日程が発表された頃から、4月24日水曜日の、カップ戦のため延期となったマンチェスター・ダービーについて、ユナイテッド・ファンの間で熱い議論が交わされてきた。しのぎ合いが続くプレミアリーグの優勝争いで、「どっちが勝った方が我慢できるか?」の議論は、圧倒的多数のユナイテッド・ファンがシティに軍配を上げていたが、自分たちのトップ4争いが絡んできたことから話は複雑になった。それでも、大多数のユナイテッド・ファンが「Liverpoolの優勝を阻止するためなら、1シーズンのEL落ちを受け止める」と宣言していた。
ところがその「心の中で自分のチームの負けを望む苦しいダービー」を直前に控えた4月21日、CL敗退に続いてエバトンに4-0と屈辱的大敗を喫したことで、ユナイテッド・ファンは一斉に頭を抱えた。「ダービーでは、2桁失点で叩き潰されるか、もしくは、こちらの方があり得るが、選手が名誉挽回のために決死の覚悟で頑張って、ラッキーな引き分けを得てしまい、Liverpoolにプレミアリーグ優勝を献上し自分たちは(1ポイントでは不足のため)EL落ちという、どっちに転んでも最悪な行方しか見えない」と、悲痛な叫びを上げた。
ユナイテッド・ファンの涙声を背景に、世間のメディアは「このユナイテッドのチームがシティからポイントを奪えるはずがない」とダメ出しし、リーグ優勝の行く先はシティに決まったと断言する中で、カーディフ対Liverpoolの直前情報を伝える番組で、カーディフ・シティ担当のジャーナリストがぽつりと語った。「今季のプレミアリーグは、通常ならばラクラク優勝の90ポイント超でも2位に終わるだろうという、非常に酷なタイトル争いなっている」。
「今日の4-0を見た後でも、残り試合を考えると、シティがポイントを落とす可能性がある試合はダービーだけだと思う」と締めくくったその表情には、Liverpoolに対する同情が浮かんでいた。
Liverpoolが2-0とカーディフに勝って、再び首位を奪還した試合後の記者会見でも、ユルゲン・クロップへの最初の質問が「水曜日のマンチェスター・ダービーは見ますか?」というものだった。「他に何もすることがなかったら見るだろうけど、自分たちがコントロールできないものは仕方ない」と、クロップは苦笑した。
「我々は、タイトル争いのために戦っているのではなく、一緒に頑張ってくれているファンのために勝つことを目指している」と、クロップは断言した。
記者団の質問が、やっとカーディフ戦の試合内容へと方向転換した時に、クロップは先制ゴールの背景を明かした。カーディフの堅い守りに苦戦を強いられた末に、56分にコーナーからジニ・ワイナルドゥムが決めたものだった。「ハーフタイムに選手たちが自主的に作戦を立てた結果、出たゴール。私は、そのように試合を見て相手を分析し、臨機応変に動いた選手たちを誇りに思う」。
カーディフのセットピースの守りの隙に気付いたジニが、ジョーダン・ヘンダーソン経由でトレント・アレクサンダー・アーノルドに伝えてもらい、低いボールを出させたという。かくして、ほぼフリー状態だったジニが、自らのプレミアリーグ通算2点目のアウェイ・ゴールを決めた。
「いかにもジニらしい話だ」と、ファンは一斉に頷いた。「Liverpoolでの初ゴールとなった、2016-17季最終日のミドルスブラ戦(試合結果は3-0でLiverpoolが勝利)は、トップ4を勝ち取った重要なゴール。あのジニのゴールがあったからこそ、Liverpoolは翌季のCL決勝進出、続く今季のプレミアリーグ優勝争いと、着実な向上の道を進むことが出来た」。
今季、ミッドフィールドの要として安定したプレイを続けているジニは、その明るい人柄も手伝って、ファンの強い人気を集めていた。3月末にBBCのプレミアリーグ・ショーに出演したジニが、「試合前にかけたい音楽リスト」の筆頭にYou’ll Never Walk Aloneを上げたことも、ファンの笑顔を深めた。
「今でも、アンフィールドでファンが歌うYou’ll Never Walk Aloneを聞くと鳥肌が立つ」と、ジニは語った。
「Liverpoolに来てから、負傷状況によってはセンターバックに入ったこともある。ローテーションでベンチに入ることすらあるが、常にチーム優先で文句ひとつ言わず、試合に出れば確実に期待に応えてくれるジニは、貴重な存在」と、ファンは熱く語った。
「そもそも、ジニを始め、クロップが獲得した選手は誰もが人格者で、文字通りチーム一丸となって同じゴールに向かって進んでいる。ファンとしては、何があってもこのチームを応援したいと心から思う」。
29年間の悲願であるリーグ優勝争いは、世間の予測を引用するまでもなく、シティが行方を握っていることは誰もが認識していた。その前提で、Liverpoolファンの間では笑顔が絶えなかった。
「クロップが言った、『これは、我々がファンと一緒に戦う最初のタイトル争い。最後ではない』という言葉は、真実だと信頼しているから」。
*本記事はご本人のご承諾をいただきkeiko hiranoさんのブログ記事を転載しております。
やばい。泣けてきた。
そうですよね・・・シティの結果をあれこれ考えるよりも!?
90ポイントの熾烈なタイトル争いに一喜一憂しつつ♪
この極上の時間を楽しみたいと思います(笑)。