ようこそ!アレクシス・マック・アリスター

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平野 圭子
LIVERPOOL SUPPORTERS CLUB JAPAN (chairman) My first game at Anfield was November 1989 against Arsenal and have been following the Reds through thick and thin
6月8日、アレクシス・マック・アリスターのLiverpool入りが正式に発表された。しばらく前から「ほぼ決定」という噂が飛び交っており、移籍金は£60mくらいと言われていた。Liverpoolがこの夏の最優先補強ポジションとしているミッドフィールドの全てのポジションをこなし、ブライトンで3年間プレミアリーグの実績を積み、24歳の若さでワールドチャンピオンという選手の移籍金としては決して高いとは言えないと、誰もが納得し、実現することを祈っていた。
 
ふたを開けると、ブライトンに違約金として支払う金額は£35mという情報がクラブ筋のジャーナリストから出たことで、Liverpoolファンは、「どろぼうを言われても文句は言えない」と、笑顔で頷き合った。喜びのあまり、あるファンがしかめ面を装いながら、ジョークを込めて言った。「今をときめくアルゼンチン人選手が、スコットランド人みたいな名字でエキゾチックさが半減だ」。
 
ケルト古代で息子という意味の「マック(Mc, Mac)」が付く名字は、典型的なスコットランド、およびアイルランド姓だ。マック・アリスターの場合は、祖先がアイルランド人だと、ブライトンに入って間もない頃に、エージェントでもあるお父さんが明かしていた。「うちの家系はアイルランドが起源。5-6世代前のことで、私のおじいさんの代もアルゼンチン生まれだ。ただ、我が家はアイルランド系だと常に言っている」。
 
名字の由来はさておき、マック・アリスターが由緒あるフットボール一家の出身であることも真実だった。お父さんのカルロスはディエゴ・マラドーナと一緒にプレイした経歴を持ち、3人の息子に子供の頃からフットボールの英才教育を施した。それが実って、兄弟のフランシスはロサリオ・セントラル、ケビンはアルヘンティーノスでそれぞれプレイする現役だが、マック・アリスターは17歳で「スターの生誕地」と言われているアルヘンティーノス入りとなった。
 
フェルナンド・レドンド、フアン・ロマン・リケルメ、エステバン・カンビアッソ、ファブリシオ・コロシーニ、そしてマラドーナという歴代スター選手を育てたアルヘンティーノスで、マック・アリスターは、それら先輩に続くことを目標に頑張り続けた。2019年1月に、移籍金£8mで4年半の契約でブライトン入りしたマック・アリスターは、英国の労働許可を得るためにアルゼンチンのボカでのローンで実績を積んだ後で、2020年夏に実質的なプレミアリーグ入りとなった。
 
同じ夏にLiverpoolからブライトン入りしたアダム・ララーナは、当時のマック・アリスターを振り返った。「彼にとっては何もかも初めてで、最初は大変だった。僕は、彼を見かけたらすぐに走り寄って話しかけた。人柄も良くいい奴だったし、出来る限り力になりたいと思ったので。彼はシャイな性格で、入ったばかりのクラブで苦戦した。クラブだけでなく、慣れない国で、今では英語ペラペラだが、その時は言葉も不自由していた。しかもコロナウィルスのロックダウンで社会全体が大変な時だった」。
 
そして、ララーナらチームメートの協力を得て、自ら努力を重ねたマック・アリスターは、翌2021-22季にはすっかりブライトンの主力となっていた。2022-23季は、アルゼンチン代表チームでW杯優勝、ブライトンではクラブ史上初のEL出場権獲得という偉業を達成し、マック・アリスターにとってさらに忘れられないシーズンとなった。
 
しかし、その成功を勝ち取るまでの道のりは決して平たんではなかった。2019年に代表入りした後で、コロナウィルス感染など不運に見舞われて、W杯行きの代表メンバー入りいかんも不明瞭な時期を過ごした。
 
「僕のお父さんは、1994年W杯にあと一歩まで行ったがかなわなかった。だから、お父さんはいつも僕に言っていた。W杯はユニークな機会だから、出られるために全力を尽くしなさい、と」と、マック・アリスターは語った。メンバー入りがかなっただけでなく、ポーランド戦では代表初ゴールを決め(試合結果は2-0でアルゼンチンの勝利)、決勝のフランス戦ではスターティング・メンバーとして優勝を勝ち取った。
 
かくして、マック・アリスターは、Liverpoolだけでなく、マンチェスターユナイテッド、チェルシーなどプレミアリーグのビッグクラブが熱い視線を向けるワールドチャンピオンとなった。
 
Liverpool入りが正式になり、£35mの違約金が情報として流れた時に、マック・アリスターの努力が勝ち取った成功談の過程が、ファンの間で話題になった。マック・アリスターがW杯で世界のひのき舞台で名を上げる前の、「ブライトンの主力ミッドフィールダー」でしかなかった2022年10月に、ブライトンで契約更新にサインした。
 
その際、「シーズン末には去る決意が固まっていたので、契約更新にサインした。7月に、移籍が実現した時にブライトンが移籍金を得られるようにと」と、お父さんが明かした。つまり、サインしないままシーズン末に契約満了すれば、マック・アリスターはフリーエージェントとして大手を振って好きなクラブに行くことが出来るが、ブライトンは1ペニーも得られずに終わることになる。ブライトンへの恩返しとして、せめて移籍金は残したい、というのがマック・アリスターの意向だった。
 
その実話を知って、Liverpoolファンは心が熱くなった。「マック・アリスターは、戦力として有能なだけでなく、人格も優れていることの証明だ」。W杯前に結んだ契約なので、違約金も当時としては適正価格だった。結果的に、Liverpoolが破格の移籍金でマック・アリスターを獲得できたのだった。
 
ファンの敬意を裏付けるように、マック・アリスターがLiverpool入りの抱負を語った。「僕にとって素晴らしいシーズンになった。W杯とブライトンでの業績。そして、今はLiverpoolに全力投入する時になった」。
 
「このクラブに入れるなんて信じられない気持ちだ。日々努力して、選手としても人間としても成長して、ファンの方々に応援してもらえるよう頑張る。そして、一つでも多くの優勝杯を取りたい」。
 
*本記事はご本人のご承諾をいただきkeiko hiranoさんのブログ記事を転載しております。

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