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12月5日、Liverpoolはアウェイでのニューカッスル戦で3-3と引き分けに終わった。この試合で、戦略的な理由で67分に交代させられたライアン・グラフェンベルフは、今季初めて「今いちの出来」だった。グラフェンベルフは、開幕からずっと、プレミアリーグとCLのほぼ全試合でフル出場し、毎試合マン・オブ・ザ・マッチの活躍を見せていた。
2023年夏にバイエルンミュンヘンから£40mの移籍金でLiverpool入りしたグラフェンベルフは、主としてNo.8で使われて、スタートしたりベンチに下がったりという、評価し難いシーズンを終えた。ところが今季は、同国人のヘッドコーチであるアルネ・スロットによりNo.6にシフトされて、見違えるような活躍を見せていた。
この夏にLiverpoolがNo.6補強を急務としていたこと、本命だったレアルソシエダのマルティン・スビメンディの獲得に失敗したことはあまりにも有名だった。そして、代わりの戦力補強を断念してグラフェンベルフがNo.6として出場することになった時には、「絶対必要な戦力を獲得するための投資を怠った」と、Liverpool陣営からもクラブに対する批判の声が上がったほどだった。
そんな中で、グラフェンベルフは世間の批判を吹き飛ばすかのような良いプレイを披露し続けた。今季5試合目だった9月18日のCL初戦のACミラン戦でマン・オブ・ザ・マッチに輝いた時には、イタリアのメディアからも絶賛された。
しかし、バイエルン時代からNo.8が本来のポジションだったはずのグラフェンベルフが、LiverpoolのNo.6として地位を固めるか否かという議論は、その時点では依然として保留だった。バイエルンミュンヘン時代にCL優勝経験のあるミッドフィールダーで現在はアナリストとして活躍しているオーウェン・ハーグリーブスは、「グラフェンベルフはこれまでは非常に良くやっている。ただ、Liverpoolは、プレミアリーグとCLのトップを目指すためにはスペシャリストのNo.6獲得が必須だ」と主張した。
試合を重ねるにつれ、グラフェンベルフがNo.6で安定して高いレベルのプレイを続けるうちに、世間の目は次第に変化していった。11月になり、LiverpoolがプレミアリーグとCLで首位を固め始めた時に、中立のアナリストであるイアン・ライトが率直な見解を唱えた。「この夏に、LiverpoolはNo.6補強を急務として動いたが、実現しなかった。そこで登場したグラフェンベルフは、まるで新戦力と言っても過言ではない。Liverpoolは多額の移籍金を貯金できた」。
世間が驚く急転換を遂げた経緯を問われて、グラフェンベルフは、「夏のユーロが終わって初めてヘッドコーチと会話した時に、僕をNo.6で使うという計画を教えてもらった」と、スロットとの会話を明かした。「どのポジションでもいいから試合に出たいというのが僕の希望だったので、チャンスを与えてもらえると知って嬉しかった」。
バイエルンでは、25試合に出場したうちスタートはわずか5だった。昨季のLiverpoolでは26試合と、飛躍的に数字は伸びたとは言えなかったが、バイエルン時代よりはチャンスが増えた。アヤックスでは、2018年に16歳130日でファーストチーム・デビューを飾り、クラブ史上最年少の記録を塗り替えたグラフェンベルフは、大きな野心を抱いて入ったバイエルンではパッとしないまま終わり、Liverpoolで心機一転を目指したのだった。
グラフェンベルフに最年少記録を譲った張本人であるクラレンス・セードルフは、2023年10月の時点で既にグラフェンベルフの成長を予測していた。「彼は素晴らしいキャリアを成し遂げる才能を持っている若手だ。正しい道を歩めば偉大なレベルに到達するだろう」。そして1年後の2024年10月に、その時の自らの言葉が実現しつつあるのを見て、セードルフは改めて語った。「グラフェンベルフはスロットが来る前から、前任監督のユルゲン・クロップの下で使ってもらっていた。つまり、Liverpoolで通用する戦力だと評価されたということだ」。
「Liverpoolは1年かけてグラフェンベルフを育てた。バイエルンで苦労した後だったので、グラフェンベルフにはこの1年間の成長期間は必要だった。そして、今我々が見ているグラフェンベルフは、今やっとスタート台に立ったばかりでこれから長年輝き続ける22歳の若手だ」と、セードルフは微笑んだ。
アヤックスの最年少記録について問われて、「セードルフ程の偉大な選手だった人の記録を破ったので、誇りに感じている。彼のCL優勝記録(4回)も破れたらすごいと思う!」と、グラフェンベルフは笑顔で語った。Liverpoolに来て、ピッチ上では1年間の成長期間の末に主力として身を立てつつあるグラフェンベルフは、ピッチ外でもすっかり馴染んだと語った。
「リバプール市は素晴らしい。敢えて難点を聞かれれば、天気。それ以外は何もかも好きだ。人々も」と、グラフェンベルフは笑った。
Liverpoolファンの間では、ピッチ上の活躍に加えて、そのさわやかな笑顔がグラフェンベルフ支持に拍車をかけていた。夏の移籍ウィンドウがクローズした9月1日には、No.6獲得ゼロに終わった心配が日常的に交わされていたファンの会話は、グラフェンベルフの活躍と共に変化してきた。
「夏のベスト移籍はNo.6獲得なしに終わったことだ」と、ファンは頷き合った。
*本記事はご本人のご承諾をいただきkeiko hiranoさんのブログ記事を転載しております。
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