最新記事 by 平野 圭子 (全て見る)
- フロリアン・ヴィルツがユルゲン・クロップと会話したと明かす - 2026年08月28日 金曜日 9:00 AM
- リバプールがブラッドリー・バルコラの条件でPSGと合意、移籍成立へ(移籍金£120m) - 2026年08月27日 木曜日 11:00 PM
- 失敗の余地がないローン(ロナルド・アラウホ) - 2026年08月25日 火曜日 2:10 PM
8月8日、ロナルド・アラウホの今季末までのローンがバルセロナと合意に達したという話が、青天のへきれきのごとく全国紙でも報道された。もちろん、Liverpoolが負傷のためセンターバック不足が危機的な状況に陥っていたことは誰もが知るところだった。ただ、負傷欠場中のセンターバックはいずれも開幕直後の数試合の後には復帰する見通しだったことから、短期的な対策の補強は計画していないと、地元紙リバプール・エコーが繰り返し報道していただけに、ファンの間で、アラウホ獲得は嬉しい驚きとなった。
ウルグアイ代表のアラウホは、2019年からバルセロナで主力としてプレイしていたが、昨季は若手ジェラール・マルティンとパウ・クバルシににポジションを奪われた形となったことで、バルセロナは財政フェアプレイ順守の目的もあり、高給取り(税込みで週給£300,000)のアラウホを放出することになった、と伝えられた。そこで、ローン期間中はLiverpoolがアラウホの給料を全額払うこと、シーズン末に£47.1mで正式移籍のオプション付き(義務ではない)という内容でLiverpoolと合意したということだった。
ファンの間では、「失敗の余地がないローンだ」と、アラウホ獲得を大歓迎する声が飛んだ。戦力的には、現在の危機的状況の対策として、極端な話、「誰でもいいから」センターバックに入って来てほしかった。それが、超ビッグクラブであるバルセロナで実績があり、センターバックとしてはキャリアのピークとも言える27歳アラウホを、莫大な移籍金を投入することなくローンで獲得できたのだ。長期的な戦力として取った21歳のジェレミー・ジャケと19歳のジョバンニ・レオーニは、負傷から復帰しても、まだ若手だ。アラウホは、これら若手に伝授する経験を持っていた。
実際に、1年前の9月には、Liverpoolがアラウホ獲得を計画しているという噂が一時的に上がったことがあった。移籍ウィンドウがクローズした直後のことで、昨年夏にすっかり有名になったマーク・グエイ獲得失敗の後で、Liverpoolがグエイの代わりの戦力としてアラウホに目を向けた、という噂だった。当時、アラウホはヨーロッパの多数のビッグクラブが注目するスター選手だった。バルセロナでの契約は2031年までだったため、移籍金を払えるクラブはないだろうと見られていた。実際に、レアルマドリードのブラジル代表ウィンガーであるビニシウス・ジュニオールが、これまでに対戦したディフェンダーの中で最も手ごわかった相手としてアラウホを上げた程だった。
そのアラウホが、バルセロナで主力の座を若手に明け渡したいきさつも有名な話だった。昨季12月のCLチェルシー戦で、アラウホは前半に2枚のイエローを受けて退場となり、10人に減ったバルセロナはチェルシーにぼろ負けした(試合結果は3-0)。そして、アラウホは監督の信頼を失い、次のリーグ戦ではチームから外された(対アラベス、試合結果は3-1でバルセロナの勝利)。更に、インターネット上ではアラウホに対する執拗で悪質な罵倒が飛び交った。中には、アラウホのご家族に向けた卑劣な脅迫もあった。
その結果、アラウホは12月にメンタルヘルスを患い、治療のため休養に入ると公表するに至った。その後、復帰したアラウホにとって、新天地で気持ちを切り替えて新たなチャレンジが必要だった。
そして、今回のLiverpoolのローンという話は、そのアラウホにチャンスを与えた形となった。ローンの話が報道に乗った後で、アラウホが減給を受け入れてLiverpool入りに合意したという続報が伝わった。それほどアラウホのLiverpool入りの決意は強かった。
バルセロナ監督のハンジ・フリックが、アラウホの決意の強さを裏付けた。「今朝、アラウホと会ってお別れの挨拶を交わした。彼は、Liverpoolに行くことをものすごく喜んでいた。Liverpoolはビッグクラブで素晴らしいクラブだから、彼にとって良かったと私も嬉しい。彼は偉大な選手であり素晴らしい人間だから、Liverpoolでの成功を心から祈っている」。
続いて、同国人のダルウィン・ヌニェスがアラウホのLiverpool入りを祝うメッセージをポストした。「この偉大なクラブでの成功を祈る!@ロナウド・アラウホ。僕は、君がLiverpoolのスペシャルなファンから熱烈にサポートしてもらえることをとても嬉しく思っている。Liverpoolファンは本当にスペシャルで、彼らは君をスペシャルな気持ちにさせてくれるよ。さあ、君はレッドだ!成功を祈る!」。それから数時間後の8月10日夜に、Liverpoolのクラブから正式な発表があった。
LFCTVの初インタビューで、アラウホは、「本当に嬉しい。僕を取ってくれたLiverpoolに感謝している」と、輝くような笑顔で語った。2011年のルイス・スアレスに始まり、セバスティアン・コアテス、ヌニェスに続くクラブ史上4人目のウルグアイ人選手となった。「ルイス(スアレス)から数分前にお祝いのメッセージを貰った。彼がLiverpoolにいた時には、ウルグアイ中で夜なべしてLiverpoolの試合を見たものだった」。同い年のヌニェスとは少年時代から大の仲良しで、ヌニェスからもLiverpoolについてさんざん聞いていたという。
「伝説的なアンフィールドで、素晴らしいファンの前でプレイすることが待ち遠しい。僕はこのクラブで全力を尽くす」と、アラウホは締めくくった。
アラウホのインタビューを聞いて、ファンの間では、「インタビューの間中、こぼれるような笑顔で語ったアラウホは、本当にLiverpoolに入れて嬉しくてたまらないという気持ちがひしひしと伝わった。この人柄だけで応援したくなる選手だ」と、誰もが笑顔で頷いた。
失敗の余地がないローンが掘り出し物の大成功となることを、ファンは密かに確信し始めた。
*本記事はご本人のご承諾をいただきkeiko hiranoさんのブログ記事を転載しております。

















コメントを残す