リバプールがあなたの命を延ばす?人生の感覚量とライフデザイン

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マジスタ

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LFCラボ@lfc_lab https://lfclab.jp/ |分析|選手名鑑|コラム|レビュー|インタビュー|和訳 YNWA!

今回のテーマは感覚量と人生について。サッカー選手の選手生命って本当に短いものです。つい最近デビューした若手選手が気づけばベテランの域に差し掛かかっていたり、好きな選手が引退してしまったりもする。人生の最盛期とも呼べる10,20,30代をサッカーに注ぎ込み引退していく選手は、美しくもあり、我々に時代の流れを感じさせ、寂しさを残していきます。それは1フットボールファンである我々も同じで、人生は目紛しい速さで時を刻みます。

ライフデザイン。サッカー選手の選手生命=20代は人生においてどれくらいの長さのものなのか。また限りのある人生において今後の考え方。

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こんな話をする上で、まずはジャネの法則を。

ジャネの法則

時間の感じ方は各々の環境や感情によって変化するということについては、多くの研究がなされてきました。読者の皆さんにも歳をとるにつれて1年が短くなったと感じたことのある方も多いのではないかと思います。この体感的な時間の経過によって人間は知らず知らずの間に人生の大半の時間を過ごしてしまっています。ここで考えるべきは有名な「ジャネの法則」。

ジャネの法則

主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を心理学的に説明した。

生涯のある時間における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例する。  (Wikipedia)

ご存知の方も多いと思いますが、これはつまり5歳の子供にとっての1年間は、5年間生きてきた中での1年=人生の1/5だし、100歳のおじいちゃんにとっての1年間は、100年間生きてきた中での1年=人生の1/100、という感じ方をするであろうという法則です。

これを関数で表すと、

f(x)=1/x (f(x):1年の感じ方、x:対象者の年齢)

ことになります。例えると、5歳の子供の1年間の感じ方は、50歳のおじさんの10年間の感じ方に相当することになります。これって恐ろしくないですか?このことを考慮すると、我々は既に人生の多くの時間を過ごしてきた可能性が高いことになります。子供の感じる時間は莫大で、大人の感じる時間は光陰矢の如しです。

逆数のグラフはこのような形状(0歳や極限の概念は無視)。歳をとるにつれて一年の感じ方が短くなっていくのがわかります。子供の方が時間を長く感じることは、子供の時に身についた習慣が大人になっても継続されることからも理にかなっています。子供の頃に繰り返し行ったものは、体の中に莫大な時間をかけて行ったものとして蓄積されるということになるからです。

また子供と大人では楽しい時間や悲しい時間の感じ方も違うでしょう。親子が味わった同じ楽しい1時間でも、その体験時間は違いがあるはずです。逆に悲しい出来事があった時には、それは長時間の耐え難い出来事として子供の脳裏に刷り込まれます。

次にf(x)は1年間の感覚量であるので、これを時間で積分することで、1年の積み重ねであるその人の一生の感覚量を計算することができます。ジャネの法則から得られた式を積分して、新たな関数とすると

y=logx (y:どれくらい生きたかの感覚量)

この対数関数をグラフ化すると

というような形状のグラフとなります。これは人生の全時間をほとんど若年期に消費していることを示していますね。

人が仮に5歳から記憶があり、80歳で一生を終えるとすると、記憶のある一生の全量は、log80-log5=log(80/5)の時間。

同様にして20歳まで生きた時点での記憶した人生の全量はlog(20/5)

これを一生の全量で割ると log(20/5) / log(80/5) = 1/2 となり20歳で凡そ人生の半分を感覚的には過ごしていることになりますね。(20歳~80歳の感覚量log4と、5歳~20歳の感覚量log4が等しいことを考えた方がわかりやすいかも知れません。)20歳で人生が半分終わっている!!有名な話ですが悲しい事実・・・。

さらにこれは最も長い0~4歳の時間を無視して考えた場合の値なので、ここでは便宜的にlog0となる場合を無視できるように積分後の関数をlog(x+1)とし、0歳からのそれぞれの年齢における人生の経過を計算してみると、

  • 10歳:52.5%
  • 20歳:68.3%
  • 30歳:77.6%
  • 40歳:84.1%
  • 50歳:89.2%

という計算になり、感覚的には自分が人生のどれくらいを終えたかを知ることができます。log(x)÷log(80)のxに自分の年齢を入力し、関数電卓で計算してみてください。(関数電卓はこちら)便宜的な計算で表した値にすぎませんが、自分の過ごした時間の多さと残された時間の少なさに驚いた方も多いのではないでしょうか。

ライフデザインの見方

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上記のことから考えると、50代以降(残りの人生の10%に過ぎない)に向けて貯蓄をしたり投資をすることは馬鹿げているように感じませんか?お金も稼げて働き盛りである30代後半になった頃には既に人生は8割を終えています。

20代の皆さんは30代になったら自分の目指す人生を行えると期待することはできますか?自分のしたいことが出来るようになる頃には、それに代わるもっと大切なもの(=人生の残り時間)が失われているのかも知れない。そんなことを考えると、自分が生きている『今』に奉仕し、大切に生きていかなければいけないと感じます。

ただただ過ぎる毎日を眺めたり、未来に過度の期待をするのはNGです。

「いつか・・・」と待っていてはいけないはず。お金を使っていろんなことを楽しむのも、自分の目標を探し、実現のために努力するのも『今』であるはずです。

まだ若いから時間はある/〇〇歳代になったら・・・と将来に根拠のない期待を持ったまま若い時期を過ごすのはあまりに勿体無いし、若いとは言えなくなってきた場合限られた時間から逆算して自分の人生をどう再デザインするかを考えるべきだと思います。

これを知ると子供との接し方も変わるはず。自分とは比べ物にならない時間を感じて生きている子供には、一生心に残るような良い経験をさせたいと感じるはずだし、その子の将来のための投資をしなければいけないし、逆に感覚に残りやすい分、悲しい経験はさせられない(もちろん教育やしつけの上で必要な場合は有るけれども)。

これだけでも度々議題になるサッカーの育成においても幼少期の指導や経験が大切な役割を持つことがわかるでしょう。サッカーの育成だけじゃない、全ての大人がこの感覚を持って教育のあり方を考えるべきだとも思います。

サッカー選手としてのキャリアも上記のことを考えると改めて短い時間であると考えさせられます。計算するとサッカー選手として活躍出来るのは、人生の9.3%ほど。少し大げさに言えば、人生の約67%(〜19歳)をかけて練習してきた大好きなスポーツをこの一瞬のプロキャリアの中で才能を証明しなくてはいけません。

こんな見方で様々な人生の位置付けについて考えてみる機会があってもいいのではないでしょうか。

人生を長くする

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では散々人生の残り時間は感覚的には短いという話をしてきましたが、どうすればそれを感覚的に長くすることができるのか。

それは刺激のある毎日を送ることです。ウェーバ・フェフナーの法則では「感覚量は受ける刺激が強くなるほど、だんだんと感じにくくなる」ということが確認されています。また時間に関する処理は様々な領域が関係するため、できるだけたくさんの分野で刺激を与えることが好ましいです。

つまり多くの新しいことに出会い、チャレンジすることで人は自分のもつ残り時間を延長することができるようです。

  • 新しいことにチャレンジする
  • 新しい人に出会う
  • 行ったことのない場所に行ってみる
  • 何かに一喜一憂する
  • 考える(学ぶ)

といったことによって刺激のある日々を送ることが、残り少ない人生の拡大と充実に繋がります。

以前からしてみたいと考えていたことを実行に移すのは今しかできないことだと思います。

余談になりますが、そんな刺激のある日々においてリバプールは最高のチームなのではないでしょうか(苦笑)。魅力的なフットボールと常に話題の提供を忘れない調子の波で我々の毎日を彩ってくれます。こんなにもハラハラドキドキをくれる応援し甲斐のあるチームは希少なはず。そしてこのクラブを通して様々な人(他サポのかたも含めて)と出会い、喜怒哀楽を共にすることができました。

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Anfieldにいったり、観戦会やKOPフットサル、食事会もいいですね。

筆者個人としてもリバプールラボをはじめサッカーに携わりながら、生活に新しい出来事が起こり、それを楽しむことができればと思います。

まとめ

  1. どの年齢においても今後、時が経つのは驚くほど早い
  2. 『今』に刺激を加えることで、時間は無駄にならない+引き延ばせれる
  3. 子供の偉大さを認識しよう
  4. 新しいことに目を向けよう
  5. リバプールは人生量を引き延ばす

以上を今回のまとめとさせていただきます。

今回の記事が読者の方の新しい考え方の補助になったり、何かの会話のタネになれば筆者も嬉しく思います。

(リバプールがチャンピオンズリーグ優勝したら寿命何年分伸びるかなぁ・・・)YNWA!

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2 件のコメント

  • めちゃくちゃおもしろい記事でした!!
    感覚量や人生の長さについて、別分野の記事で読んだことはあったのですが
    サッカーと絡めるとは!!

    改めて、プロサッカー選手たちが私たちファンに見せてくれるプレーへの尊敬と、そのプレー1つ1つにある人生を賭けた煌きのようなものを感じることができるようになったと思います。

    最後に子供の偉大さ、ですが
    自分が子供を持った時にこの記事を思い出し、人生の半分に値するかもしれない貴重な時間を幸せなもの(サッカー絡みの記憶も込みで笑)にしてあげたいものです。

    • 嬉しいお言葉をありがとうございます!!
      ○○×サッカーの構図は多くの分野で興味深いですよね笑

      プロサッカー選手も1人の人間であることもそうですし、記事から新しい見方や捉え方をするキッカケを作ることが出来て幸いです。

      子供についての認識も嬉しいです笑あつおさんの子供の貴重な時間がもちろんサッカー込で有効に彩られることを願っています!!

      モチベーションになりました。
      今後も良い記事の作成に努めて行きたいと思います!

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